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AROMA SOMMELIER

私たちが日々楽しんでいるエッセンシャルオイルは、花や葉、果皮、木部など、植物が持つ芳香成分を丁寧に取り出してつくられています。
その抽出方法は、植物の種類や抽出部位、芳香成分の性質によって異なり、それぞれの植物の個性を最も美しく引き出す方法が選ばれています。
芳香成分は「油胞」と呼ばれる袋状の細胞に蓄えられていますが、この油胞が存在する位置は植物によってさまざまです。たとえば、ローズは花、ミントは葉というように、香りを放つ部位にも明確な特徴があります。
こうした違いを踏まえ、芳香成分が植物のどこに存在しているのか、また水や熱にどのように反応をするのかを見極めながら、エッセンシャルオイルの抽出方法は選ばれています。
今回は、現在主流となっている3つのエッセンシャルオイルの抽出方法をご紹介します。

もっとも一般的な抽出方法で、蒸留釜に芳香植物を入れて蒸気を通し、熱によって水蒸気とともに揮発した芳香成分を冷却器で冷やします。すると、オイルと水が分離し、上部に浮かんだ液体がエッセンシャルオイルとなります。
多くの植物に用いられる方法で、植物本来の姿を感じられる、すっきりとした透明感のある香りが特徴です。
また、分離した水にはわずかに芳香成分が含まれており、これを芳香蒸留水(フローラルウォーター)と呼ばれ、化粧水などにも利用されています。
設備が比較的シンプルで、幅広い植物に対応できる点がメリットですが、植物によっては水や熱の影響で成分が変化し、香りが大きく変わってしまうこともあります。さらに、植物の種類によって抽出できる精油量には大きな差があります。
主な抽出部位:葉、茎、花、根、木部 など
代表的な原料:ラベンダー、ユーカリ、ヒノキ など

主に柑橘系の果実に用いられる抽出方法で、果皮をローラーで削り、圧搾した後、遠心分離によってエッセンシャルオイルを取り出します。
ほとんど加熱を行わないため、天然の香りが保たれやすく、フレッシュでみずみずしい香りが立ち上がるのが特徴です。
この方法で得られたものは、精油ではなく「エッセンス」と呼ばれることもあります。果実をむいた瞬間のような自然な香りが楽しめる一方、圧搾時に不純物が混入しやすく、また変化しやすい成分を多く含むため、比較的劣化が早い点には注意が必要です。なお、柑橘系の果皮でも、水蒸気蒸留法によって抽出される精油も存在します。
主な抽出部位:果皮
代表的な原料:オレンジ、グレープフルーツ、レモン など

水蒸気蒸留法では香りが変化してしまう花の芳香成分などを抽出する際に用いられる方法です。原料となる植物に、石油エーテルやヘキサンといった揮発性有機溶剤を加え、芳香成分を溶かし出します。
溶け出した芳香成分と天然ワックスを低温で揮発させると、半固形状の「コンクリート」と呼ばれる物質が残ります。これにエタノールを加えて溶かし、ワックス成分を取り除いたものが「アブソリュート」です。
また、樹脂などから得たものは「レジノイド」と呼ばれています。
それぞれ、アブソリュートはAbsolute、または略してAbs.、レジノイドはResinoid、 または略してRes.と表記されます。生花に近い、深く華やかな香りが特徴で、香りに奥行きや余韻を求める場合におすすめの抽出方法です。
主な抽出部位:花
代表的な原料:ローズ、キンモクセイ、ジャスミン など
目には見えない工程の違いが、香りの表情や奥行きを生み出しています。
エッセンシャルオイルを選ぶときには、どうやって香りが抽出されているのかという抽出方法にも目を向けてみてください。
透明感のある香りを日常に取り入れたいとき、フレッシュな気分転換を求めるとき、特別な余韻を楽しみたいときーー香りの奥にある背景を知ることで、エッセンシャルオイルの世界を、より深くお楽しみいただけるはずです。
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