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AROMA SOMMELIER

ヒノキ(檜)は、日本と台湾にのみ自生する針葉樹で、古くから高級建材として知られています。寺社の建材としても多く用いられており、現存する世界最古の木造建築・法隆寺にもヒノキが使われているといわれています。
幹はまっすぐに伸びる常緑の大木で、高さは30〜40メートル、直径は1〜2メートルにも達します。耐久性・防虫性・防腐性に優れていることから、古くから貴重な木材とされ、江戸時代には幕府や藩によって管理され、勝手な伐採が禁じられるほどでした。
ヒノキの名の由来は、油分が多く、木をこすり合わせると簡単に火が起こることから「火の木」と呼ばれるようになったと伝えられています。地中海原産のサイプレス(イトスギ)の近縁種であり、海外では「ジャパニーズ・サイプレス」として紹介されることもあります。日本の風土と共に育まれたヒノキは、清らかさと安らぎを象徴する存在として、日本人にとって古くから親しまれてきました。
※なお、台湾に生息しているヒノキは、日本のものとは異なる種類です。

科名:ヒノキ科
学名:Chamaecyparis obtusa
抽出部位: 木部、葉、枝
抽出方法: 水蒸気蒸留法
主要産地: 日本、台湾
主な芳香成分:α-ピネン、ボルネオール、酢酸ボルニル など
香りのタイプ:ウッド
香りの揮発性:ミドルノート
香りの印象:やや弱い
ヒノキの香りは、森の中を思わせる清涼感と落ち着きをあわせ持つ、気品高い木の香りです。ほのかに樟脳のようなスパイシーさや、土の香りも感じられ、「日本の木」として多くの人に懐かしさや安心感をもたらします。その香りは日本らしさ、そして和の印象をやさしく漂わせます。
ヒノキは木部だけでなく、枝葉からも精油が抽出されますが、部位によって香りの印象が異なります。
心材から得られるヒノキオイルは、長い年月をかけてしっかりと育った木のように、どっしりと安定感のある、静かで落ち着いた香りが特徴です。一方、枝葉から抽出されるヒノキオイルは、ナビネンやリモネンといった成分を含み、フレッシュでグリーンな印象をもつ、爽やかで清々しい香りです。同じヒノキでも、抽出部位によって香りの印象が異なる楽しさを感じていただけます。
森林浴効果でリラックス&リフレッシュ
ヒノキの主成分は、森の香りを思わせる爽やかな成分α-ピネンです。鎮静や抗ストレス作用に加え、抗菌・防虫効果も期待できることから、古くから建材や生活用品として広く利用されてきました。
ヒノキの香りを嗅ぐと、心が穏やかに癒され、気分がリフレッシュします。忙しい都会で暮らす人々にとっても、まるで森の中を歩いているような安らぎと清々しさを感じられる香りです。その穏やかな鎮静作用は心を落ち着かせ、深い安らぎとともに心地よい眠りをサポートしてくれます。
また、血行を促進する作用があり、むくみや肉体疲労、冷え性などの緩和にも役立つとされています。
なお、台湾産のタイワンヒノキには、肌の活性化を促すとされる「ヒノキチオール」が含まれていますが、日本のヒノキにはほとんど含まれていません。

「日本の木」として古くから親しまれており、誰もが懐かしさや安心感をもつ香り。
おうちでもパブリックなスペースでも、活用しやすい香りです。
心を落ち着かせてくれる、和の香り
日本を感じるヒノキの香り。ヒノキ風呂や寺社を思わせるその香りは、心をゆったりと落ち着かせ、日本人にとってどこか懐かしく、親しみのある香りです。
ご家庭で楽しむなら、特に和室がおすすめです。畳の青々とした香りや、柱・床の間に感じる安定感のある木の香りと調和し、空間に凛とした印象と清々しさをもたらします。
ヒノキの香りは室内芳香にも適しており、抗菌・防カビ作用に加えて、まるで森林の中にいるような清潔感のある空気を演出してくれます。
また、どこか懐かしく穏やかな印象をもつ香りのため、高齢の方々にも人気が高く、さまざまなシーンで取り入れやすい香りです。
不安を取り払い、心をホッと癒したいときに
心を穏やかに癒し、気分をやさしくリフレッシュしてくれる香りです。穏やかな鎮静作用が心の緊張をほどき、深い安らぎをもたらすことで、自然と眠りをサポートします。明日へ向かうための心のリセットにも最適です。
気持ちが落ち着かないときや、不安で集中できないときには、芳香浴として取り入れるのがおすすめです。やさしく爽やかな香りが心を静め、穏やかな時間をもたらします。
また、ヒノキの香りは高い消臭効果を持ち、空気をすっきりと清潔に保つため、ルームスプレーとしても幅広く活用できます。
葉の色が色づきだした秋から冬に
ヒノキのカラーイメージは、やや薄い茶色~黄土色~くすんだ黄緑色。カラッとしたブラウンから、オリーブグリーンのような、ヒノキの「木」そして「枝葉」を含むような植物そのもののカラーイメージです。
その落ち着きと気品を感じさせる香りは、明るく活発なシーンよりも、静かで穏やかな空間により適しています。特に、夕暮れ以降や葉が色づき始める秋から冬にかけての季節に、心地よく寄り添います。
また、ヒノキには防虫効果も期待できるため、衣替えの時期に衣類の防虫対策として活用するのもおすすめです。自然の香りに包まれながら、暮らしを快適に整えることができます。
シトラス系:レモン、オレンジ、ベルガモット
ハーブ系:ローズマリー、ラベンダー
ウッド系:サイプレス、パイン、ホーウッド
日本のヒノキはあまり癖がなく、清々しい香りなので、様々な香りと幅広く調和します。爽やかさを際立たせるような、シトラス系の香りとのブレンドは初心者でも試しやすいです。甘さをもつホーウッドやラベンダーなどとの相性もよく、ヒノキ単体では感じられないフルーティーさをもたらすことができます。
おすすめは、ウッド系のブレンド。同じヒノキ科のサイプレス、ジュニパーなどとの相性も良く、様々な木々の香りが複雑さをもたらします。木の香りは重厚さやハードな印象を与えますが、合わせる香りによってやわらかさや華やかさが加わり、なじみやすくなります。
日本のヒノキは爽やかさもある優しい香りのため使いやすい香りですが、一方で台湾のヒノキは、濃厚で印象も強い香りのため、少量から使うことをおすすめします。
B12 パインヒノキ
パインとヒノキの深く落ち着く木質の香りに透明感のあるユーカリをブレンドした、涼しさを感じるウッドの香り。ひんやりとした木陰の中で森林浴をしている気分になるような、静かで落ち着きのある印象の香りです。午後のリフレッシュタイムや清潔感を演出したいシーンなどに向いています。
原料:パイン,ヒノキ,ユーカリ
JB02 吉野檜
馴染みのあるヒノキの無垢で柔らかい香りと、優しく爽やかなヒノキリーフをブレンド。ヒノキの他にも様々なウッド系のオイルをブレンドしていて、柔らかな木の香りが心を包み込み、落ち着かせてくれます。
原料:吉野檜,サイプレス,ヒノキリーフ,サイプレス,シダーウッド, パイン, etc.
JD05 粋(IKI)
なじみ深いヒノキとの香りと、スパイシーさを感じるジュニパーやサイプレスの香りが、大人な印象の木質ブレンドを作り上げます。さらにロサリナやスパイクラベンダーの甘く透明感あるハーブをブレンドすることで、より洗練されスタイリッシュな空間を作り出します。
原料:ヒノキ, ジュニパー, サイプレス, ロサリナ, スパイクラベンダー, etc.
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