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シダーウッドは、高さ15mほどに成長する針葉常緑樹です。シダーウッドと呼ばれるエッセンシャルオイルには、マツ科のものとヒノキ科のものがあります。マツ科のものはアトラスシダーのほか、レバノンシダーやヒマラヤシダーがよく知られており、ヒノキ科のシダーウッド・バージニアは北米が原産で、ジュニパーベリーに近い種類に属しています。
マツ科のアトラスシダーやレバノンシダーは、害虫よけになるため建材として重宝され、古代エジプトでミイラやピラミッド、寺院建築など、あまりに大量に用いられたため、絶滅の危機に瀕したといわれています。レバノンシダーのエッセンシャルオイルは、人類が抽出した最も古い精油の一つと考えられており、古代エジプトでは、ミイラづくりや化粧品、香水などに使用されていたほか、有名なミトリダーテス王の解毒剤の一成分としても、何世紀にもわたり用いられてきました。
一方、ヒノキ科のシダーウッド・バージニアは、鉛筆の材料としても利用されており、日本では「エンピツビャクシン」と呼ばれています。
※本記事ではアトラスシダー(シダーウッド・アトラス)を中心にご紹介します。以降、シダーウッド=アトラスシダーと表記しています。

基本情報

科名:マツ科
学名:Cedrus atlantica
抽出部位: 木部
抽出方法: 水蒸気蒸留法
主要産地: モロッコ
主な芳香成分:ヒマカレン、カジネン、α-アトラントン、デオダロン、カラコレン など
香りのタイプ:ウッド
香りの揮発性:ミドル~ベースノート
香りの印象:強



シダーウッドの香りの特徴

特有の安定感を感じさせるウッドの香りです。甘さとスパイシーさが交差する奥行きのある神秘的な香りで、温かみのあるトーンに包まれながら、香りの移ろいを楽しめるのも特徴です。トップノートではカンファーのような清涼感が広がり、時間の経過とともに甘く力強いバルサム調の香りへと変化していきます。ウッド系の香りで神秘的といえばサンダルウッドが知られていますが、サンダルウッドと比較するとドライで、よりスパイシーな印象を与えます。
一方、ヒノキ科のシダーウッド・バージニアは、より落ち着きのあるウッディノートで、ヒノキにも似た清々しさを持ち、まるで深い森の中にいるような静けさと安らぎを感じさせる香りです。鉛筆の芯材としても利用されているため、鉛筆っぽさを感じる方もいるかもしれません。



シダーウッドの持つ機能

深みあるウッドの香りで、心身も空間も整う
シダーウッドは精神的な安定をもたらす香りとして広く知られています。
不安を和らげて緊張をほぐす効果や、リンパの流れを促してむくみを改善し、咳や痰を鎮める作用が期待されています。また、収れん・殺菌作用によりニキビの改善を助け、頭皮の脂やフケ、脱毛症を和らげる効果もあるとされています。
化粧品分野では、香水の香料や揮発保留剤として使用されるほか、家庭用品、石鹸、洗剤などにも広く利用されています。
東洋では、気管支炎や尿道炎の治療に処方されるほか、保存料やお香としても重宝されており、特にチベットでは、現在でも寺院でお香として焚かれ、チベット伝統医学の中でも用いられています。



シダーウッドを使うシーンや季節

古くから生活に根付いてきた便利な香り。
奥行きのある複雑な面と森の中にいるような木質の香りが、日常の様々なシーンに溶け込みます。

落ち着きと深みを添える空間演出に
リビングや書斎、寝室など、静けさや集中を必要とする空間にぴったりです。
木のぬくもりを感じさせるその香りは、北欧や和モダンの空間デザインと特に相性が良く、インテリアのアクセントとして香りを活かすことで、深みと洗練を与えてくれます。
天然木の家具や間接照明と共に、静謐で心地よいひとときを演出します。
また、緊張を緩め、安心感を与えやすい香りなので、自宅の静かな空間はもちろん、ロビーや待合室などのパブリック空間に広げる香りとしてもおすすめです。

防腐・防虫対策や心のリセットに
防腐・防虫対策にも活躍する香りです。ルームミストにして空間に広げたり、サシェなどに滴下してクローゼットの中に入れたりすることで、防腐・防虫対策に役立ちます。
さらにシダーウッドの香りは深呼吸と共に心を整えてくれます。日々のストレスで落ち着かないときには、アロマディフューザーを活用して空間に香らせたり、マッサージオイルやバスソルトに加えて使ってみましょう。香りに包まれて呼吸を整えることで、心身がほぐれ、質の良い眠りへ導かれます。ヨガや瞑想など、内面と向き合う時間にも最適なアロマです。

秋から冬に寄り添う温もり
秋の夜長や冬の静けさが似合う香りです。寒さが増し、気持ちが内へと向かう秋冬の季節に、シダーウッドの香りはしっくりとなじみます。木の温もりの中に感じるスパイシーさと甘いバルサム調の香りが、冷えによる緊張感を和らげ、内側から温めるような感覚をもたらしてくれます。深く温もりある香りは、毛布にくるまるような安心感を与え、日々の疲れをやさしく癒してくれます。静かで神秘的なホリデーシーズンを演出したい時や、年末年始のあわただしさの中で、心を鎮めたい時など、冬のイベントごとにも取り入れたくなる香りです。



相性のいいオイル

シトラス系:ベルガモット、レモン
フラワー系:ネロリ、ローズ
ハーブ系:ローズマリー、ラベンダー
ウッド系:サイプレス、ジュニパー

シダーウッドは柑橘系、花系、樹木系、ハーブ系、スパイス系ほとんどの精油と好相性で調和します。深く温かみのある香りのため、ブレンドにおいては土台や保留剤としての役割を果たします。
特にトップノートに明るいシトラス系を加えることで、香りに動きと軽さを生み出し、バランスの良いブレンドに仕上がります。また、フラワー系やハーブ系との組み合わせでは、ウッディーさが華やかさや清涼感を引き立て、調和のとれた香りとなります。
ただし、シダーウッドの持つややスモーキーな側面が強く出すぎると、重たく沈んだ印象になることがあるため、ブレンド量には注意が必要です。
心を落ち着けたいときは、同じくラストノートのサンダルウッドやフランキンセンスを加え、香りに深みと持続性を持たせるのも良いでしょう。季節やシーンに合わせて、香りの輪郭を調整する感覚で楽しんでみましょう。



「シダーウッド」をブレンドした香り

JB01 青森ひば

木々と湿った土っぽさを感じる、深く暗い森の中に入り込んだような香り。木部だけでなくモミリーフをブレンドすることにより、葉が生い茂っている雰囲気も出ています。神秘的な落ち着きをお楽しみいただける香りです。
原料:青森ヒバ, モミリーフ, シダーウッド, サイプレス, ローズマリー, etc.


JB06 飛騨杉

飛騨杉の青くフルーティーな爽やかさを活かした香り。ローズマリーが飛騨杉のグリーン感を鮮やかに彩り、シダーウッドが木部らしい落ち着きを表現しています。夜や寒い時期に合うシダーウッドですが、こちらは朝や新緑っぽさをお楽しみいただけます。
原料:飛騨杉, シダーウッド, パイン, ジュニパー, ローズマリー, etc.


City series 東京(TOKYO)

スパイシーさを感じるシダーウッドやサイプレスやまろやかなサンダルウッドの香りが重なり合った、複雑なウッドの香りです。重ための香りではありますが、ロサリナやユーカリをブレンドしていることにより、どこかスッと抜けるような柔らかさも感じられます。
原料:サンダルウッド, シダーウッド, サイプレス, ロサリナ, ヒノキ, ユーカリ, etc.